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恐かった話し・3 [その他]

私のこれまでの人生で経験した、一番恐い話しを書いておくことにします。ただこの恐さは自分だけのものなので、その場にいない人に伝わるのか心配ですし、そもそも恐い話しなのかも疑問ですが、お付き合いください。(文末に一言添えました)

伊豆半島には比較的良く出かけて行く。温泉もあるし魚介類も美味しい。旅行でも仕事でも何かと縁のある地域でもある。そういえば伊豆半島では何カ所か怪しいところがある。たとえば旧天城峠のトンネル。ここでは変な写真が撮れてしまったこともあるし、近くの宿ではやたらと金縛りに合うこともあった。まあ金縛りなんてのはあまり気にはしないので問題ない。

私に仕事を出してくれる会社の寮も伊東市の川奈にあり、4年ほど前に1泊の仕事で泊まらせて頂いた。川奈ゴルフクラブで有名で、別荘地としても知られたところだ。山の斜面に作られた別荘地の寮は海が見下ろせる3階建てで、2階が入り口、上と下に部屋がある立派な作りだった。

川奈.jpg

玄関に車を寄せると荷物を持って降りる。が、どうも寮の向かって左手が気になった。別に不審なものがあるわけでもなく、斜面の他には寮の1階部分の壁と剥き出しの骨組みが見えるだけだったが、気になる部分を見たにもかかわらず、なにか忘れているような、やり残しているような、確認せずにはいられないような、気持ちの落ち着かない妙な気分だった。

しかし他の仲間に続いてすぐに中に入ったこともあり、違和感はすぐに忘れてしまった。玄関を入るとすぐに大きなフロアで、そこが居間であり食堂だった。火が使えないので夕食は全て外からの配達だったが、世話をしてくれる口数の少ない老夫婦がいた。

部屋数は多く、3階と1階に別れて好きなところを選んだが、なぜか1階は部屋が2つあるにも関わらず、1つの部屋にすでに布団が2つ敷かれていて、ここだけは2人で寝るように用意されていた。特に不審とも思わず、「布団しかなくて便利だ」くらいの気持ちでその2人部屋に荷物を置いて、奥にあるトイレに入った。

目の前に小さな鏡が掛かるごくありふれた流しとトイレ。便座に座るがどうも落ち着かない。なにやら辺りの空気が重いと言うか、闇が迫ると言うか、明かりも点いているのにどこか薄暗く感じるのだ。「なんか暗いなぁ」と思いつつも用を済まして目の前に付いている鏡を見ながら手を洗う。右には和室があるが、「部屋があるじゃん」とは思いつつも、特に気にはしなかった。

寮には温泉が引かれていて、すぐに汗を流して夕食をすませると、お酒を飲み、いつしか夜も更けて12時を回っていった。世話の夫婦も火に注意するようにいうと帰って行き、昼間の疲れも手伝って、それぞれの部屋に帰って行く。私も友人と部屋に戻り、「野郎どおしで枕を並べても色気ねえな」などといいながら電気を消し、目をつむり友人に背を向けた。

すると、いきなり強烈な恐怖感に襲われた。後ろには友人が寝ているが、子供でもないのにとにかく恐くて目が開けられない。一体なにが恐いのかさえもわからないが、生まれてからこんな経験は初めてだった。かといって恐いほうに背中を向けてしまう勇気など、とてもじゃないがでてこない。そんな曖昧な感覚じゃなく、モーレツな恐怖感だ。

ふっと、寮に着いたときに感じた違和感を思い出した。その方向はまぎれもなく、違和感を感じた寮の左そのものだったのだ。とにかくそのまま体の正面を恐怖感の来る方向に向けておくことができず、なんとか上を向くだけ動くのが精一杯。階段を上がって行く勇気もでない。とにかく布団1枚でもいいから体を覆っておきたいくらいの恐怖感だった。信じられないことに、友人はなにも感じないのかすでに寝息を立てている。

恥ずかしいなどと言っていられる状況じゃなく、「恐い」・・・「恐い」と声に出していると、友人が「ああ、なんか変ですね。外もオレンジに光っているし」と答えてくれるが、言葉とは裏腹に気にはしていないようで、すぐに寝てしまう。特に音がするわけでもない、なにかされるわけでもない、ただただ不気味な恐怖感だけが強烈に襲って来る。こんなことがあるんだろうかと思うが、現実にストレートに恐怖感が襲って来るのだからどうしようもない。

ぴくりとも動けず頑なに目をつぶり、上を向いている。繰り返し背中がゾクゾクして冷や汗が体中に出てくるが、気にするどころじゃない。神経がやたら敏感になり、聞き耳を立てるが動くものは感じない。長い長い時間が、1時間、2時間と過ぎていく気がするが、目も開ける勇気がなく時計など見られるわけもない。

それでも緊張が続いた疲れで、いつしか寝入ることができたのはラッキーだったのかもしれない。ぐったり疲れて翌朝食堂にあがると、3階に寝ていた友人が「でた?」と一言。『???』意味が分からない。また「出なかったの?」と言ったときに、ハッとした。「やっぱりでるんだ。見た?」と来た。

どうやらここには女性の幽霊が出ると言われているらしい。そのために下の階だけ2人以上で寝るようになっていたのだ。当然知っているやつらは上に寝たわけだ。実際にはトイレの横の和室にでるらしく、その部屋での目撃者が多いと言う。今ではその和室だけは使わないのだが、私が感じたのはその部屋からではない。壁の外から突き抜けて来るような恐怖感なのだ。いろいろ聞けば管理をしている夫婦も見ているようだった。

危害は何も加えられてはいないし、目を開けられなかったので、なにも見ていない。音もたぶんしないが、気配だけはいままでの経験の中でも飛び切り強烈だった。恐い話しは嫌いなので、怪談話などを聞かされれば暗闇が恐いってことはままある。臆病風に吹かれるってやつだ。でもそんな気持ちは全くないところに、いきなりの恐怖感がドーンというのは初めてだ。

普通は何かを見たり、寒気を感じるほうが先だと思う。これまでいろんなものを見て来たけどあんな恐怖感は初めてで、もう絶対にあの寮には近づかないつもりだ。


今日(3月3日)になってというか、昨夜も寝る前に考えたんだけど、あの怖さはどんな種類の怖さだったのか、考えてみた。たぶん(怖くて見ていないけど)、近いのは「貞子」が自分に向かってにじり寄ってくる感覚かも。目を開けてしまうと、なにかが見えてしまいそう。でも開けなくてもじわじわと迫って来るみたいな、そんな感じかなと思う。「目の前に包丁を持った暴漢が現れていまにも刺されそう」ってのとは違う気がする。

長々とお付き合いありがとうございました。
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やまがた

私は、幸せな事に
俗に言う怖い場所に行っても何も感じないほうの
人間みたいです・・・・(^_^;)

でも、その手のものが好きで、
友人と、よくいろんな場所に行きましたよ~~~

福井のバスが土砂崩れで埋まった場所とか
日航ジャンボ墜落場所とか・・・・・(^_^;)

昔あった、長野のバスがダムに転落した場所に行ったときなんか
車で行ったのですが、夜遅くなったので
その付近で車をとめて車中泊することに・・・・

私は、すぐに寝てしまいましたが
友人は一睡も出来なかったそうです・・・・(^_^;)

そして、朝方、なんか
地元のオバサンに車の中を覗かれたのを覚えています・・・笑

霊感が全然無いのも考えもですね・・・笑

(でも、最近行った青森の恐山は、さすがの私も
この世のものとは思えない、なにか目に見えないものを
感じさせられました・・・・・・・・・・・
あそこは、行かないほうが良いですよ・・・・・・・・
マジに、ナニかある場所だと思います・・・)

by やまがた (2011-03-03 20:05) 

川越

>やまがたさま

こんにちは。お久しぶりです。霊感っていうんでしょうか?良くわからないんですが、以前はただの恐がりなんだと思っていたんですよ。まあ今でも半分はそのつもりなんですけど。
でもいかにも出そうな、事故があった場所だからなにか感じるっかっていわれると、そんなことは私もないですね。さすがにそこで寝たりするのは嫌ですけど。
私の場合は場所でも物でも、違和感がある場合とない場合があるってだけです。見たり、聞いたりってのはほとんどないですね。全くないわけじゃないですけど(^^;でも見たくないです。
恐山、怖そうだなぁ。基本的に怖い物は嫌いなのでたぶん行かないと思います。っていうか、行きたくないです。


by 川越 (2011-03-03 20:17) 

上海狂人

世の中怖い話はたくさんありますが、何より怖いのは意味の分からないもの、なんだかわからないものが怖いわけで、あとで解釈できるというのは怖いというより怖かった話になるんです。

こういう正体不明の怖さというのは本人しかわからないでしょうね。

ですから話自体は、失礼ながらありきたりなんですが、本人の恐怖感が伝播してきます。

しかし伊豆半島は多いですね。
旧天城トンネルなんて有名ですね。
気の流れの悪い土地なんでしょうか?
頼朝も流されるところですから、良い土地ではないのかもしれません。
それが名勝地になっているのは面白いです。
by 上海狂人 (2011-03-04 17:55) 

川越

>上海狂人さま
そうなんですよ。本人しかわからない怖さって、つまらないですよ。でも富士の樹海や湖より全然怖いです。絶対近寄りたくないですもん。
伊豆はいろいろありそうですね。「忌み地」という意味では東京と山梨の境になる奥多摩もたぶんなにかあるんじゃないかな?。「御霊の尾根」、「位牌山」、「自害沢」、「病ヶ沢」、「骨窯」、位牌平」、「生首」と、おかしな名前がどんどん出て来ます。もっとも私はなにも感じないので、気にしませんが。もしかしたら土地の利害にからんだ話があったのかもしれないですね。
by 川越 (2011-03-04 18:32) 

上海狂人

地名というのは、ある意味重要ですね。
最近はあまり縁起の良くない字を嫌って改名するとことが多いので、かつてどういうところだったかをわからないことが多いです。住居選びはそういう意味で難しいです。
鹿(読みはシシ)という名前の付く地名もあまり良くないそうです。
by 上海狂人 (2011-03-04 19:39) 

川越

>上海狂人 さま
昔の地名がどんどん亡くなって行くのは残念ですね。お上の都合だったりしたら最悪です。「鹿」は良くないのですか?実家の近くには「鹿骨(ししぼね)」という地名がありますが、昔は「置いてけ堀」なんていう、怪談話もあった地域です。
by 川越 (2011-03-04 19:47) 

jet

霊感、自分はそんなに強くは無いと思っていますが、道東を旅すると、時々感じる時が有ります
http://rolleiflex.exblog.jp/10321122/
ここなんんか、最たるものでした
後から調べると、鴻之舞金山は、心霊スポットらしく、その時感じた、なんだかまずいなと、迫ってきた得も言われぬ不安と、一刻も早く離れなければと感じたのが、そうだったのかもしれません
今思い出しても、あの迫ってくる何かを思い出します
by jet (2011-11-08 01:17) 

川越

>jetさま、おはようございます。
鴻之舞鉱山の記事は以前も読ませて頂きましたが、きっと同じような感じなのだろうと思います。きっとフィルターは何かの替わりになって手元から離れて行ったんじゃないでしょうか。もしそのフィルターを取りに戻ったら、今度は・・・なんて(^^;

by 川越 (2011-11-08 08:20) 

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