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一番大きな鋸(最後にちょっと追記) [道具]

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うちにある一番大きな窓鋸は、この写真の一番上にある多分2尺というサイズ。大きさが実感できないと思うけど、歯の付いている部分の長さが60センチ強、幅が21センチもある。真ん中が1尺8寸というサイズで、これでも結構な大きさだけど、持った感じはひとまわり小さく感じる。

今のところ、この1尺8寸というサイズが一番使いやすいけど、同じ1尺8寸でも首の長さなどが微妙に違っていたり、幅が違ったり、歯の形が違うなどでそれぞれ使い勝手が違う。一番下が1尺4寸というサイズで、歯の部分が42センチくらい。大きさとしてはまあまあ一般的な大きさか、少し大きいかもしれない。これ以下のサイズは細い木を切るとき用で、ある程度の太さの木を切るときはこの3本のサイズになる。
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歯の大きさを比べてみると、こんな感じ。下から大、中、小と並べたけど、歯の大きさはかなり違う。鋸の場合、「大は小を兼ねる」って言葉が通用しなくて、小さい鋸で太い木を切るのは大変だし、大きな鋸で細い木を切るのは目が粗いので難しい。それぞれ適応するサイズがあって、その中で歯が大きければ能率がよくなるし、普通の歯よりも窓のこの方が能率がいい。

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一番大きな鋸は「玉鋼力」と刻印があるけど、これはどういう意味なんだろう。確かにヤスリでこすった跡を拡大して見ると、古いかんなの地金のような感じに見えるので、玉鋼なのかもしれないけど、その割には作りが綺麗すぎるような気もしている。ともあれ、この大きな鋸は太い丸太を玉切りするときに活躍してくれる。
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面白いのは歯形。この2尺の鋸の歯形は「窓鋸」といって、縦引きの歯1枚と横引きの歯4枚が1セットで付いているけど、その横引きの歯が普通と違って古い形ともいわれるバラ目になっている。

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こちらが横引きの歯で先端が斜めになった台形

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こちらがバラの棘のように尖った歯先のバラ目

横引き鋸の歯は横から見ると台形になっているのに、バラ目は三角形。そのためにバラ目は木を切るときに縦にでも横からでも斜めでも引ける。ただし縦、横、それぞれ専用のほうが切れ味はいいはず。あえてバラ目にしているのは何故なのか興味深い。

山仕事用の道具なので大工用の鋸とは違い、切り口の綺麗さよりも切断の速さが大事な鋸というのがミソかもしれない。というのも、昔の山仕事は出来高払い。杣や木こりは人よりも少しでも多く切る(速く切る)工夫をしていた。

そのために特に重要な鋸の歯形は人には絶対見せず、仕事が終わればすぐにカバーをかけたという。道具を雇い主の森林組合などで貸し出すようになると、返す時には目を潰してから返したほど、自分なりの形を大事にした。これは何より、人よりも少しでも多く稼ぐための工夫だった。

この鋸もあるいはそんな杣が使っていた、自分だけの刃先形状なのかもしれないと思うと、目立てして現代風の刃先にする前に、もうしばらく使い込んでみたいと思わせてくれる鋸でもある。ちなみにこの鋸はヤフオクで北海道から入手したもので、開拓時代に使われたものだろうと想像している。

出品者(昭和25年生まれ)にこの鋸の生い立ちを聞いてみたら、次のような一文が届いた。

「知人より譲り受けた商品で、道北管内と思います。ご承知のとおり旭川は明治期第7師団設置により軍都として栄えるとともに木材業が盛んになり、大雪山麓をはじめ、うっそうと生い茂る原生林の伐採により木工場が林立したと聞いています。

当時は鋸と斧の作業ですから、地元をはじめ、本州からも鍛冶職人の存在が重要であったようです。私も子供ころ父の手伝いで自家山林で、雪を利用した冬山造材(積雪を利用し馬で搬出します)腰まで埋まり作業致しました、夕方近くなると、空腹と寒さで震えて家路につく様子を思い出します。」
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